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誰もが思い描きながらも成し得なかったこの奇跡の融合は、ユノ・ユンホという名のもとで実現された。
これは本物だ。
チョン・ユンホの時間と努力によって生み出された結晶なのだ。（2021.01.27）
大粒の雨がしとしとと降る路地裏。
見慣れた暗青色の画面を割って登場したひとりの男が、ずぶ濡れのタバコに火をつける。
苛立ちながら一服していると、黒いレインコートを着た数十人が背後を駆け抜ける。
彼らがつくり出した暗く狭い傘のトンネルを、タバコをくわえた男が、まるでランウェイを歩くように疲れた足取りで横切っていく。
目指すは、トンネルの先に停まった黒いセダン。
Netflixなら「緊張感あふれる音楽」と字幕がつきそうな音楽のなか、足音と雨音が重なって響く。
息の詰まるような緊張感の中で登場するのは、誰が見ても“ナンバー2”とわかる面構えの男。
彼が「片付けろ」と合図すると、黒いレインコートの一団が一斉に男に襲いかかる。
激しい血闘の音を背景に、黒いセダンの窓がゆっくりと下がる。
サングラスをかけた男が、口にくわえたキャンディーを転がしている。
そしてナンバー2の容赦ない一撃によって男が倒れると、彼はサングラスを外す。
韓国ノワールの象徴であり、完成形とも言えるファン・ジョンミンの登場だ。
雨の中で倒れた男を確認し、ついに彼が口を開く──
「行こう」
もはやタイトルの有無など意味をなさない、ありふれた韓国ノワール映画の冒頭──のように思えるが、これは東方神起ユノ・ユンホの2枚目のミニアルバム『Noir』のタイトル曲「Thank U」のミュージックビデオである。
SNSでは「まるで7秒に感じた」と評されるほどの、全7分38秒のミュージックビデオ。
その時間が一瞬に感じられる最大の理由は、映像に満載された“クリシェ”にあるだろう。
冒頭で描写したように、「Thank U」はノワール作品が築いてきた数々の定番を隠すことなく、むしろあからさまに活用している。
組織に裏切られた男、最後まで生き残り、復讐のために己の身体を鍛える男、「オールドボーイ」の“金槌シーン”さながらにチンピラたちを倒して最終ボスへと向かう男、中華料理店の個室で待ち受けるボス、「来ると思っていた」と涼しい顔で言い放つかのようなボス、たった一発を残したリボルバーでロシアンルーレットを持ちかけるボス──そして、ついに始まる肉弾戦のハイライト。
ミュージックビデオというよりも、7分間で韓国ノワールのエッセンスを凝縮した短編映画とも言える映像だが、そこには確かに“ユノ・ユンホ”という存在が息づいている。
緊迫したシーンの合間に差し込まれる彼のキャラクターは、まさに私たちが「ユノ・ユンホ」と聞いて思い浮かべるイメージそのもの。
鍛錬する姿は、バラエティ番組『シングル男のハッピーライフ』などのバラエティで見せた、朝から運動と振り付けに取り組むチョン・ユンホの姿と重なる。
エレベーターや金槌シーンなどのアクションシーンの後に続く群舞は、物語の緊張感を保ちつつ、自然かつ重厚に演出されている。
ここで改めて強調されるのが、楽曲「Thank U」の存在感だ。
ユノ・ユンホが「魂まで捧げた」と語るアルバム『Noir』は、彼が制作段階から関わった渾身の作品。
そのタイトル曲である「Thank U」に通底するのは、まさにユノ・ユンホ流の“正攻法”だ。
「それがまさに人生の真理」と表現される、湧き上がる情熱で“情熱マンスール”の異名を得た彼のキャラクターは、初期にはネットの軽薄な嘲弄を受けたが、今では誰もがリスペクトを送る唯一無二の存在として確固たる地位を築いた。
「Thank you for diss / Thank you for like / Thank you for me」という歌詞は、冷笑や嘲りだけでなく、愛や自分自身に至るまで、今の彼を形づくったすべてへの感謝を込めている。
2003年のデビュー以来、激動の時代を共に歩んできたユ・ヨンジンが手がけたこの歌詞は、単なる言葉遊びではなく、ユノ・ユンホが体得した不器用ながらも真っ直ぐな“人生の真理”そのものに感じられる。
「Thank U」のミュージックビデオは、そんな“直球と直球”がぶつかり合って生まれた、圧倒的な“正攻法”の洪水だ。
誰もが思い描きながらも成し得なかったこの奇跡の融合は、ユノ・ユンホという名のもとで実現された。
これは本物だ。
チョン・ユンホの時間と努力によって生み出された結晶なのだ。
Thank U ミュージックビデオ
U-KNOW 유노윤호 'Thank U' MV - YouTube
